コレクション: 村上木彫堆朱コレクション

新潟県村上市に受け継がれる「村上木彫堆朱(むらかみ きぼり ついしゅ)」は、
日本の漆芸の中でもひときわ存在感を放つ伝統工芸です。
木地づくり、下絵、木彫り、漆塗りという専門職の手仕事を重ね、
立体的な彫りと深い朱色が調和した、唯一無二の漆器が生まれます。

まず、朴(ほお)や栃(とち)などの天然木を用いて木地師が器の形を整え、
彫り師が木地に直接下絵を描き、文様の骨格をつくります。
その線に沿って花弁や葉脈を彫り起こすことで、
村上堆朱ならではの力強さと繊細さが同居する立体感が生まれます。
最後に塗師が漆を丁寧に塗り重ね、彫りの陰影を引き立てる深い朱色へと仕上げます。

村上木彫堆朱の魅力は、時を重ねるほどに艶が深まり、手に馴染んでいくこと
漆が呼吸するように光沢を増し、使う人とともに育っていく工芸品です。
その変化は「経年劣化」ではなく、「経年美化」と呼びたくなるほど豊かで、
世界中の工芸愛好家から高く評価されています。

文様には、菊花や牡丹、唐草など、古来より吉祥を象徴する意匠が多く用いられます。
特に菊花は「高貴」「長寿」を表す格式ある文様として知られ、
村上堆朱の彫りと漆の深みがその象徴性をいっそう引き立てます。

茶道具としての棗や盆、日常で使える小箱や皿など、
どの作品も手に取ると驚くほど軽く、温かみのある触感が伝わります。
海外では、茶道具としてだけでなく、
ジュエリーボックス、デスク小物入れ、インテリアオブジェ、記念品小物入れ としても親しまれ、
暮らしの中に静かな華やぎを添える存在として愛されています。

村上木彫堆朱は、単なる工芸品ではなく、
日本の美意識と職人の技が凝縮された“使いながら育てるアート”
このコレクションを通して、その深い魅力をぜひ感じていただければ幸いです。